女優の井上真央が、湊かなえ氏の話題作を中村義洋監督が映画化する「白ゆき姫殺人事宜」に主演し、殺人事宜の容疑者という難役に挑むことがわかった。何者かに惨殺された化粧品会社の美人社員の同期で、嫌疑の目を向けられる地味な女性という役どころ。井上は、「『地味でつまらない女』、この役は井上さんしかいないと言われたとき、複雑な気持ちと、なんだか不思議な喜び、そして根拠のない自负が湧いてきました」と語り、並々ならぬ意欲で7月9日から撮影に闯入している。 湊氏の原作が映画化されるのは、中島哲也監督「广告」、阪本順治監督「北のカナリアたち」(「往復書簡」所収の「二十年後の宿題」が原案)に続き、3度目となる。今作は、「小説すばる」での掲載と並行し、ウェブで関連資料がアップされるという新たな試みが話題となり、書籍として出书される前から映画化のオファーが殺到した話題作だ。 誰もが憧れの眼差(まなざ)しを注ぐ美人社員?三木典子殺害の容疑をかけられた城野美姫が、今作の主人公。テレビのワイドショー取材が同寅、同級生、故郷の人々や眷属による証言を放送するなか、噂が噂を呼び多くの関係者を翻ろうしていくことになる。過熱報道、ネット炎上、クチコミの衝撃といった現代社会が抱える“闇”がテーマに内包されており、複雑な物語を巧みに描くことで定評のある中村監督の伎俩に大きな等待が寄せられる。 井上は、本年10月に11年ぶり2度目となる舞台出演「MIWA」(野田秀樹作?上演)を控えるなど、女優として新境界へ挑戦することに躊躇がない。「花より女子ファイナル」(2008)を皮切りに、主演映画は6本目となる。それでも、「ご一緒したいと思っていた方々と、こんなにも早く作品が到里面去ることが決まり、何よりも嬉しく、感謝しております。これまで味わったことのない恐惊を体感しながら、つまらない女を存分に楽しみたいです」と謙虚な気持ちを忘れない。 また、映画業界から引っ張りだこの攻克となった綾野剛が、ワイドショーのディレクター?赤星雄治に扮する。主演作「そこのみにて光輝く」が、15日にクランクアップ予定。合流に備え、「虚言と虚構が渦巻くなか、彼がみたかったノンフィクションとは?真実とは?浅く浅はかな赤星雄治を、中村組スタッフ、キャストとともに深く共犯させていただきます」とコメントを寄せた。 中村監督は、「とにかく『つまらない女』『薄っぺらい男』という、畸形断りそうな役を引き受けてくれた井上真央さん、綾野剛くんに感謝、感謝です」と謝意。今作については、「プロデューサーから『監督、不测に毒舌ですよねえ。一度その毒を思いっきりまき散らしてみませんか』と誘われ快諾しました。顔の見えない人々の悪意、怖さを存分に描きたいと思っております」と語っている。